第96回アカデミー賞で脚色賞を受賞した『アメリカン・フィクション』と脚本賞を受賞した『落下の解剖学』を観た。
まず、『アメリカン・フィクション』の感想から。
皮肉大好き人間にはぴったりの作品だった。
J.T.リロイのことを思い出した。文学賞の選考シーンはどれも笑ったし、モンクがヤケクソになって本の新しいタイトルを提案するところは爆笑してしまった。そんで最後が見事!見事すぎる。全部ひっくるめて皮肉で返してくる展開。凄かった。
あと思ったより家族の話だった。現実もしっかり描いているから、ちゃんと笑いの部分が効いてくる。宇多丸さんの映画評を聴いて思い出したけど、妹リサの遺書も素晴らしかった。あんなクレバーな遺書、私も書きたい。
それと単純に加藤さんが観たらどう思うか、感想が聞きたくなった。
▼Prime video
『アメリカン・フィクション』
▼宇多丸さんの映画評
そして、『落下の解剖学』
良かった。上映時間2時間40分という中々の長さだったけど、ずっとこの話はどう展開していくのか?という興味の持続の引っ張りが強力で、最後まであっという間だった。まぁ、ずっと胃はキリキリしてるんだけど…。あと話の決着はある程度着くけど、最後の最後で「ん?」と思うシーンが挟み込まれて、「えっ、てことはどういう?」という疑問を投げかけるので、観終わった後も気を抜かせてくれない…。
映画『おとなのけんか』が大好きなのだが、“これだけは言ってはいけない”リミッターを振り切ってしまった大人の口論シーンがこの映画にもあって『う"わぁー!ぐぬぬ』と唸ってしまった。
いずれにしろ、観客の立場や考え方や人生観に寄ってどんな感想も持ちうるという、どちら側にも立たない絶妙な(ほっそいほっそい糸の上に立つような)バランスがすごくて本当にすごかった。考察しがいのある映画だけど、出た結論でその人自身が暴かれてしまうような、そんな映画(どんな映画?)。
あと犬ちゃんがすごい。あれどうやって演技したんだろう?ほんとにすごい。
▼宇多丸さんの映画評